100人規模のイベントで双方向のコミュニケーションを円滑に。23歳以下の若者たちが教えてくれた出会いの工夫

イベント活用
100人規模のイベントで双方向のコミュニケーションを円滑に。23歳以下の若者たちが教えてくれた出会いの工夫

国内外さまざまな地域から23歳以下の若者たちが100人集まる一泊二日のイベント「U-23サミット」。名だたる登壇者の講演、参加者が主体となるワーク、プレゼンテーションで構成され、参加者は自らと向き合い、新たな可能性を掘り下げます。2023代表の章子昱さんを含め9名の実行委員もまた全員が23歳以下。まさに若者による若者のための会です。

5年目となる2023のテーマは「肩書きのない名刺を交換しよう」。メインコンテンツとして、参加者全員がプレーリーカードを使って、コミュニケーションを深めるワークショップを実施しました。プレーリーカードを活用したコミュニケーション活性方法、イベント活用術を章さんとともに振り返ります。 

〜この記事はこんな方におすすめ〜
・コミュニケーションを活性化させるようなイベントコンテンツを検討している方

・プレーリーカードをつかったコミュニケーション活性事例を知りたい方

     - 導入のきっかけ - 

    • イベントのテーマにプレーリーカードのコンセプトが合致

    • 参加者100人のコミュニケーション促進のため

     

     - 活用方法 - 

    • イベントのプログラムに合わせ、プレーリーカードのプロフィールページを適宜編集・即時反映

    • オリジナルで作成できるカードのデザインを工夫して会話のきっかけに


     - 効果 - 

    • カードのおかげで参加者の会話が弾み、高いイベント満足度を実現

    • 大量の自己紹介後も、交換履歴が一目瞭然で振り返りがラクに

     

    100人のコミュニケーションのハードルが下がった

    ──今年の「肩書きのない名刺を交換しよう」というテーマが印象的でした。どのような議論があって決まったんですか?

    テーマありきでイベント全体の構成が決まっていくので、テーマ決めは本当に大事なプロセスです。実行委員会で議論を重ね、4ヶ月ほどかけて決めました。
    僕は今大学で主権者教育を学んでいるのですが、U23には僕のような大学生の他、働いている人、独自の分野で活動している人もたくさんいます。例えばラッパーの人と挨拶した時、お互いに「ラッパーです」「主権者教育を学ぶ学生です」という情報だけだと、領域が異なりすぎて、それぞれの良い部分がなかなか伝わりづらい。

    U23サミット2023代表の章子昱さん


    肩書きだけでなく、もっと人間としてその人が大事にしている価値観などが伝わり、シナジーを生む仕掛けにしたいと思っていました。

    そもそも、U23サミットを立ち上げた吉野裕斗さん(現愛知県日進市の最年少市議会議員)が構想していたのは、教育や、国際協力など、各分野に点在しているU23を一堂に集め、分野を超えたコラボレーションを生むことだったので。

    ──まさに、プレーリーカードの「人の出会いを豊かにする」というミッションとぴったりの活用事例だったのではと思います。

    そうですね、 100人も集まるわけですから、場はかなり混沌とします。しかも選考を突破してきた100人なので、新しい出会いを求めるアグレッシブな人たちが多い。プレーリーカードのプロフィールページに会話のきっかけとなる文章を記載したり、プレーリーカードの自動履歴保存機能を使って、皆さんの出会いのハードルを下げ、コミュニケーションを円滑にできたことは良かったです。SNSアカウント交換の動線もスムーズで、より本質的なコミュニケーションに時間を使えたことはよかった思います。

     

    肩書よりも、大事にしている価値観などを理解し合えた



    ──プレーリーカードの活用術を具体的に教えてください

    イベントでは、ワークを経て皆さんに発見があるごとにプレーリーカードの内容を書き換えていってらったんです。一番初めのワークは、価値観カードを使った「自分の価値観を見つめ直そう」というもの。「忍耐力」「愛」「自律」「協調性」などさまざまな内容のカードを次々交換していって、最後に自分の手元に残った3枚の価値観を、プレーリーカードの自己紹介文に追記してもらいました。
    すると、それ以降交換した際、「この人はこんな価値観を大事にする人なんだ」とわかる。

    1日目の16時までは、「自分が何をしている人か、学校名や会社名なども開示しない」というルールを設けていたので、より人間の本質を理解し合う場になったと思います。

    肩書きを自己紹介に使わない、となると、「じゃあ何を話せば?」と戸惑う人もいたのですが、逆に、「肩書きがないおかげで自分のことを素直に話せて、心地よかった」という声もありました。

    例えば、プレーリーカードの肩書きを書くパートに「自分の大事にしている価値観や言葉」を書くように使い方をアレンジしてみました。
    また、自分の活動がわかるリンクを載せたり、SNSを載せることで肩書きという入口からではない自己紹介ができたように思います。

    例年、23歳にしてすでに自分の得意・関心領域で研究や活動をバリバリしている人たちばかりが集まるので、劣等感や疲れを感じてしまう人も中にはいるんです。今回はそれを軽減することができたな、と思います。平均して、皆さんプレーリーカードで50名くらいは自己紹介できたようです。

    交換履歴のサンプル画像。簡単にプロフィールページを振り返ることができ、出会った日にちも自動で記録される。

     

    コミュニケーションを促すデザインの工夫とは

    ──カードのデザインもシンプルで素敵ですね。

    左上には名前のみ、右下のページがめくれているあしらいの部分に、その人の大切にしている考えが印字されているデザインです。僕の場合は、「自ら希望を設定する力を」と書かれています。一人一人、事前にこの一言を回収してデザインに反映させました。オペレーションはかなり大変だったんですけど(笑)。


    章子昱さんのカードデザインとトップページ

    この一言だけだとわからないので、挨拶の時に「どういう意味?」と聞きたくなり、言葉の背景にある想いなどを掘り下げることでコミュニケーションが生まれます。
    「自ら希望を設定する力を」の意味は、日本のように成長が鈍化した社会では絶望がたくさん待ち受けていると思うけれど、それを乗り越えるためには自分で希望を設定することが大事だ、ということ。この話をしてから「主権者教育を学んでいます」と自己紹介をする方が、話が入りやすかったですね。
    また、サミットのお土産として物理的に持って帰ってもらえたのもよかったな、と思います。サミット以降も、自己紹介ツールとして使っていただきたいです。

    カードの裏面。参加者が今後も長く使えるよう「あえてU23感は出さなかった」そう

     

    情報をどんどんアップデートし。成長に並走するカード

    ──サミットの期間中、若者の皆さんはいろんなことに気がついて、成長していかれたと思うのですが、そこにアウトプットとしてプレーリーカードが並走できたような印象があります。

    まさにそうだと思います。何人と、誰と交換したのか一目瞭然で振り返ることができますし、とにかく、気軽にブラウザで情報を書き換えられるのがよかった。
    今回は、事前にプレーリーカードのページだけ作っておいてもらって、会場に来てカードをお渡しするというオペレーションでした。とにかく皆さん、扱いがスムーズで、本能的に操作がわかるという印象を受けました。

    僕らZ世代は、ある程度自分のやりたいことは定まっているけど、まだふわふわしていたり、「これで生きていく」とまでは決めていない人も多い。コロコロやりたいことが変わって、一年後に会ったら、全然違うことをやっている、という人もたまにいます。

    「やりたい」「やらなければ」と思ったそのタイミングですぐ実行に移せるって、僕は個人的にすごく良い風潮だなと思っていて。新しく団体を立ち上げました、となれば、名刺を増やすのではなく、プレーリーカードのページの情報を書き換えればいい。そういう意味では確かに、成長に並走してくれるツールと言えそうですね。

    Interview&Text / Chiaki Seito
    Photo / Akane Sakaki
    提供写真 / Satoki Higashi

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