
スタートアップの集積地として注目を集める渋谷では、スタートアップ・エコシステムの形成に向けた様々な取り組みが進められています。
渋谷区が中心となって行うスタートアップ支援の取り組み”Shibuya Startup Support”では、デジタル名刺「プレーリーカード」の活用可能性を検討するため3か月の実証実験を行い、法人プランを導入しました。プレーリーカードは、名刺交換の枠を超え、自己紹介・情報共有・広報を兼ねた新たなコミュニケーションツールとして、スタートアップ支援拠点「渋谷ブリッジ」を中心に活発に活用されています。
本記事では、渋谷区の岡村さん、そして2025年3月まで渋谷ブリッジやコミュニティの運営を担っていたイグニション・ポイント株式会社の濱さんに、プレーリーカード導入の背景や活用方法、そして本導入に至った決め手について伺いました。
なお、プレーリーカードを提供する株式会社スタジオプレーリーは、渋谷区のスタートアップ認定制度「S-Startups」の支援対象企業として認定されています。
※本インタビューは2025年3月に実施されました。
〜この記事はこんな方におすすめ〜
スタートアップ支援に携わる行政関係者の方
インキュベーション施設やコワーキングスペースを運営されている方
イベントやネットワーキングにおける情報伝達の効率化に関心のある方
- 導入のきっかけ -
- 活用方法 -
- 期待できる効果 -
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Shibuya Startup Supportの取り組みと、導入の背景
────まずは、Shibuya Startup Supportの概要と、導入の背景について教えてください。
岡村 吉野: Shibuya Startup Supportは渋谷区が中心となり国内外のスタートアップの立ち上げや成長を支援する取り組みです。多様なプレイヤーと連携しながら、スタートアップエコシステムの形成を目指しています。
その一環として、スタートアップを行政として集中的に支援する「S-Startups」という認定制度を設けています。今回、S-Startupsに採択されているスタジオプレーリーから渋谷区の実証実験事業にご応募いただき、3か月の実証を通じて利便性やコミュニケーションの活性化を実感できたことから、Shibuya Startup Supportでの本格導入を決定しました。
濱 里々佳: プレーリーカードは、名刺としての機能に加えて、広報や情報集約のツールとしても活用できる点が特徴で、起業家やスタートアップの支援、イベント開催など多岐にわたる活動を、カード一つでご紹介できます。実証実験を経て利便性や情報発信の新たな可能性を感じられたことが、本導入の大きな鍵になりました。
(左)濱さん
(右)岡村さん
渋谷区職員・施設運営者それぞれが活用。状況に応じてフレキシブルに
────プレーリーカードの具体的な活用方法について教えてください。
岡村:プレーリーカードのプロフィールページには、利用者ごとに最適化された情報を表示できる仕組みがあります。スタートアップ支援機関との関係構築を担う渋谷区職員、コミュニティマネージャー、イベント受付担当など、それぞれの立場や目的に応じて異なるコンテンツを設定しています。
たとえば──
外部広報用:スタートアップ支援制度の紹介ページや関連機関の紹介等
施設案内用:施設情報や周辺の飲食マップ等
イベント受付用:チェックインリンクやイベント詳細ページ、イベントカレンダー等
プロフィールページに設定されているコンテンツ

左:スタートアップ支援制度の紹介ページ
中:施設情報や周辺の飲食マップ
右:イベントカレンダー
カードをタップするだけで、相手に届けたい情報を即座に伝えられるため、紙の名刺や資料では難しかった情報の出し分けやタイムリーな更新がスマートに行えるようになりました。
現在、私たちはこのカードを主に以下の方法で活用しています。
共通コンテンツの表示(法人向けプラン限定機能)
- 情報発信・広報ツールとしての活用
- イベント受付でのチェックインと案内の一元化
- コミュニケーションのきっかけづくり
1.情報発信・広報ツールとしての活用
岡村:Shibuya Startup Supportのメンバーが関係者へ自己紹介を行う際や、スタートアップ支援施策について説明する場面でプレーリーカードを活用しています。タップするだけで、支援概要や活動紹介のページにアクセスできるため、言葉だけでは伝わりにくい情報もスムーズに届けられます。
2. イベント受付でのチェックインと案内の一元化
濱:イベントの際には、受付で参加者にカードをかざしてもらい、チェックインと施設やイベント概要の案内を同時に行っています。特に外国人起業家の方には好評で、「このカードすごいね!」と驚かれることもあります。情報更新もリアルタイムで反映できるため、紙の資料よりもずっと便利です。

受付に設置されているプレーリーカード
イベント参加者はプレーリーカードをタッチし、ページに設定されているリンクからチェックインやその他施設情報を閲覧することができる
3. コミュニケーションのきっかけづくり
岡村:プロフィールページには、顔写真や所属、SNSリンク、趣味なども掲載できるので、初対面時の会話のきっかけにもなっています。イベント告知もタイムリーに行えるので、次の接点づくりにもつながり、ネットワーキングの質も上がっていると感じます。
濱:スタートアップイベントでは、プレーリーカードを持っている方が非常に多いので、自己紹介がプレーリーカードベースで進むことが当たり前になりつつあります。LinkedInとの連携も好評で、これまでは「Shibuya Startup Support」と検索してもらっていましたが、今ではプレーリーカードにタップするだけでつながれるようになり、その手軽さが非常に便利です。

プロフィールページに設定されているLinkedinアカウントへのリンク
法人プランだからこその管理・運用のしやすさ
────プレーリーカード for Business 専用の管理機能はどのように活用されていますか?
濱:管理機能があるおかげで、プロフィールページの作成はかなり簡単にできるので助かっています。実際、管理機能の使いやすさも法人導入の大きな決め手でした。
特に重宝しているのは「グループ機能」です。部署やチームごとにプロフィールページに表示するコンテンツを出し分けられるという機能です。
施設案内を行うコミュニティマネージャーにはチェックインリンクや施設周辺の飲食マップ・イベント情報を、広報の機会が多い渋谷区職員には支援制度紹介を…といったように、利用用途に応じてグループ分けをした上でプロフィールページを設計しています。掲載順やコンテンツも集合管理できるため、運用面でもとても助かっています。
岡村:主に濱さんに管理機能で基本情報の登録やコンテンツ設定をしていただいていたので、自分でコンテンツ管理をすることなくすぐに使い始めることができました。遠隔でつながっているメンバーにも特別な連携をせずに、最新コンテンツを共有できるのは大きなメリットです。
プレーリーカード導入による業務改善とコミュニケーションの変化
────プレーリーカードを導入して、どのような変化や成果がありましたか?
岡村: 導入後、情報発信の効率が格段に向上しました。以前は、紙の資料を用意したり、その場でホームページを検索してもらったりする必要がありましたが、プレーリーカードならワンタップで必要な情報を提供できます。
また、実証実験の期間中には、プロフィールページに設定したリンクやSNSのタップ数が2か月で200回を超え、コミュニケーションの頻度を定量的に把握することができました。
濱:受付業務も大幅に効率化されました。施設の入り口にプレーリーカードを1枚設置するだけで、イベントチェックイン・施設情報・次回のイベントの案内など必要な情報の伝達が網羅できます。初めて来られた方にも、ニーズに応じた情報を十分に伝えられるようになりました。

渋谷ブリッジに来館された海外の方がプレーリーカードに興味津々
「このカードすごく良いね!購入するよ!」との声も
──── 今後、どのようにプレーリーカードを活用していきたいですか?
濱:プレーリーカードは、従来の名刺機能を大きく超えて、広報やコミュニケーション活性、さらには業務効率化にも役立つツールになっています。海外の方が多く参加するイベントでの利用機会も増えており、さらに工夫できる可能性があると思います。国内外問わずShibuya Startup Supportの取り組みを発信していきたいです。
岡村:カードのデザインも好評で、会話のきっかけにもなっています。スタートアップ支援を「伝える」から「共感・共創」へと進化させるために、これからもプレーリーカードを最大限に活用していきたいと思います。
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プレーリーカードのことをもっと知りたい!という方は、以下のページをご覧いただき、お問い合わせください。
https://prairie.cards/pages/for-biz
まずは担当から状況に合わせた「プレーリーカードの使い方」を一緒にディスカッションさせていただきます。
Interview / Hayato Sakai、Erika Sodai